企業価値と生産性

FAQ

 

企業に期待されていることは、企業価値を向上させる経営活動を通じて、自己資本の時価(株価)を高めることです。それには、営業利益を増やすことと、資産効率の最適化を図ることの両面を見据えて、戦略を策定する必要があります。有効な資産に投資を行い、ムダな資産を持たないようにすれば、資本調達を抑えても多くの利益が得られるようになり、企業成長を優位に進めることが可能になります。

資産効率を最適化するための着眼点を探ってみましょう。まず、販売金額のパレート図を作ってみます。パレートの法則の通り、売上ランク上位2〜3割の商品で全売上高の約8割を占めるグラフが得られます。次に、在庫金額の累計に目を移してみましょう。すると、パレート曲線を描いているわけではなく、ほぼ直線的に増加していることが分かります。なぜなら、陳列する商品は売れ行きに関係なく、ある一定の数量は陳列しなければ、売場を演出できないからです。その結果、各ランクの平均在庫日数を見ると、下位になるほど在庫日数が大きくなり、平均支払サイトを45日と仮定すると、売上ランク下位4割の商品在庫を維持するためには、明らかに運転資本が必要になることが分かります。特に、全く動きのない商品の在庫が全体の1割近くを占めることも珍しくありません。

そうであれば、B,Cランク品の生産性を改善することが重要な着眼点となります。この部分はムダが多いのですが、個々の商品の在庫削減の可能性はほんの僅かです。しかし、ほんの僅かであっても、B,Cランック品は全品目の半数以上を占めるわけで、ちりも積もれば山となります。ただし、これは一筋縄ではいかない大変労力をともなう作業で、どうしても自動発注システムにより、最適な状態に自動的に誘導する仕組みが必要になります。

こうして、死に筋品の改廃に積極的に取り組んだり、在庫は極力圧縮して品目数を増やしたりすることで、ロングテール戦略の可能性も見えてきます。ロングテールの管理レベルの差が、企業の超過収益の差になって現れることにもっと関心を注ぐことが肝要です。


販売金額と在庫金額のパレート図

企業価値の構成

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